第2報-国道399号、二ツ箭山入口標識⇔いわき市/川内村境界、往復約40km(平成9年11月上旬)

国道399号は太平洋岸(いわき市)から山形県南陽市に至る山道である。 その中でいわき市二ツ箭山(ふたつやさん)登山道入り口付近から川内村に至る約20kmの区間は急峻であり、ヒルクライマー諸君にお勧めである。 景色は抜群、谷川のせせらぎの音もよい。
愛車(もちろんSDV)を車に積み、朝8時自宅出発。 9時半二ツ箭山登山道入口駐車場に到着。 愛車に乗り換える。
ここで、私のSDVについて簡単に説明しておこう。 色は赤、普通のロードバイクとの違いはパワートレインという仕掛けがついていることだ。自動車でいえばスーパーチャージャーがついているようなもので、見ただけで脚力が効率よく伝わるのがわかるようにできている。 前ギアは1枚しかないが、ヒルクライム仕様(前26T、後11T-34T 、9速)なので不自由したことがない。 勿論、平地でも34km/h程度は楽に出すことができる。
さて、登山者の方に頼んで写真(直下左)を撮ってもらった後、北に向かって出発。
出発地点から5km位北に位置する沼(いわき市小川町上小川内倉)までは普通の坂で、紅葉を楽しみながら登る。 ところが沼を過ぎると、これが国道かよと疑いたくなる急斜面に差し掛かかり、道路の蛇行も激しくなる(写真右)。
右の写真の標識にあるとおり路面の勾配は15%で、多少の変動はあるものの、同じような状態が屹兎屋山(きっとやさん)登山道入口まで約6km続いている。 この間、道路は曲がるたびに狭くなり、ところどころ頭上は木々で覆われ、晴天にもかかわらず路面は湿っている。 Google Earthで“いわき市小川町上小川内倉”と入力してジャンプすると、この様子はご理解いただける。 しかし、木の間から見える紅葉はたまらない。 苦しいのでよけいに美しく感じるのだろうか。 沼の端から4kmくらい北の小さな峠の手前は勾配が一段と急になっており、思わず最も軽いギアに落としたとたんタイヤがスリップ。 仕方なしに5mくらい歩くはめになる。 そこを過ぎると道幅は少し広くなるが、相変わらず急勾配と道路の蛇行は続く。 何回かの曲がりの後急に南側が開け、二ツ箭山(710m)の独特の石の山頂が忽然と現れる(写真下左)。 山頂の高さはこちらとほぼ同じ。 山頂に人影が見える。 ずいぶん登ってきたものだ。 達成感が全身にみなぎる。

しばらくして屹兎屋山登山道入口を通過。道路はなだらかとなる。 ここから4km進むといわき市小川小学校戸渡分校が右手に見えはじめる。この分校は現在廃校になっている。 不思議なことに、気のせいかここを通るたびに子供の騒ぎ声が聞こえる。 この辺りの集落の子供は本校まで遠いので、10km北の双葉郡川内村の小学校に通っているそうだ。 昔なら徒歩で大変だが、今ではマイクロバスか何かで送り迎いしてもらっているのだろう、などと考えながら通過する。 それから約5kmで、いわき市と川内村境の峠に到着(写真下右)。
この峠の名前は知らない。 道路の両側は木々がうっそうと茂り、市と村の境の両方に標識がある。 ここまで登りづめであったので、ここで少し休憩をしようと周りを見渡したところで、“熊出没注意”の看板が目に入った。 このところの温暖化とやらで熊の冬眠が遅い。 SDVのお陰でずいぶん脚力、腕力に自信はついたが、熊と格闘するのは気が進まない。 妻の用意したスペシャルドリンクを一口飲んだだけでそそくさと帰路に就く。 20kmの急なつづら折りの下り坂は神経を使うが、逆光で見る二ツ箭山やいわき市の市街の眺望の美しさ、雄大さはここでなければ味わえない。 11時前には二ツ箭山登山道入口に帰投。 昼過ぎに帰宅した。 気分爽快。それにしてもSDVには力がある。 乗れば乗るほど筋肉がつく。 高い石段を歩いて登るのも楽になるから不思議だ。 これはTrekやBianchiにはない御利益で、体力増強を目的とするなら間違いなくSDVである。